集団的自衛権の限定容認の閣議決定について

7月1日、安倍内閣は「集団的自衛権の限定容認」を閣議決定
しました。
閣議決定文は8ページに及びますが、そこに「集団的自衛権」
が明記されたのは一箇所だけです。
「集団的自衛権の限定容認」という言葉はありません。
「国際法上は集団的自衛権が根拠となる場合がある」
と書かれているだけです。
一方、「国際法上の根拠と憲法解釈は区別して理解する
必要がある」とあり、これではあいまい戦略としか言い
ようがありません。
さらに、これまで議論してきた個別事例についても閣議
決定にはありません。
「どんな場合が集団的自衛権行使の対象になるかは、事態
の発生を受けて個別具体的に判断する」という説明を始め
ました。
一体これまでの事例の議論はなんだったのか。
これでは、自民党公明党が妥協した結果の「玉虫色決着」
そのものと言わざるを得ません。
我々は安全保障に関わる重要な問題として、徹底した国会
審議を通じ国民の皆さんにも説明責任、納得責任を果たす
べきだと強く求めます。
そのうえで、私は、
1.「武力攻撃に至らない侵害への対処」いわゆる「グレーゾーン」
への対応は、自衛隊出動の手続き円滑化、迅速化をはじめとした
万全の対策をとることについて異論はありません。
今後、法整備を進めていくということに賛成します。
2.「国際社会の平和と安定への一層の貢献」いわゆる
「集団安全保障」への協力については、閣議決定にもあるように、
「他国の軍隊と武力行使の一体化はしない」という前提で、
現場のニーズに柔軟に協力する方策、立法化を検討していく
ということについても異論はありません。
 3.「憲法9条の下で許容される自衛の措置」いわゆる
「集団的自衛権の限定容認」ですが、閣議決定では、
「他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が
脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から
覆される明白な危険がある場合」とあり、自衛隊法76条に規定
される防衛出動の要件、
「武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められる
に至った事態」とどう違うのか、現実にはどこに差異があるのか。
総理も要件と基本的考えはほとんど同じ。表現もほとんど変わっ
ていない」と述べており、一体、この閣議決定は何の意味があるのか
「集団的自衛権」を限定容認したものなのか、やはりとてもあいまい
です。これでは、従来の憲法解釈の範囲内というように読めます。
 私は、安倍総理の国際情勢の現状認識、日米同盟深化の必要性、
日本が果たすべき国際貢献・安倍内閣でいうところの積極的平和
主義、これを達成するための外交・安全保障政策については反対
ではありません。
この外交・安全保障政策を遂行・達成しようとするならば、今回
のような玉虫色の解釈の変更で推し進めるよりも、憲法を改正発議
して、国民のみなさまにしっかり説明し、最後は国民のみなさまに
よる判断=国民投票にかけるべきではないでしょうか。
それが、国家の重要な政策を進めるロイヤルロードであるはずです。
今回の中途半端な内容・やり方の閣議決定では、ますます国民の信頼、
近隣諸国の理解を得ることはできないのではないでしょうか。
国会の審議を通じてこうしたことを問うて参ります。
衆議院議員 あおやぎ陽一郎
カテゴリー: ブログ
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